2014年9月1日 国際教養大学入学式が挙行されました。 本日は、橋口昌道秋田県副知事をはじめとして多くの来賓にご参列いただき、世界各国からの留学生157名を含む 197名の新入生が、本学の学生としての第一歩を踏み出しました。
入学式式辞 学長 鈴木 典比古
新入生の皆さん、国際教養大学に御入学おめでとうございます。また、保護者席で本日の入学式を見守っておいでの御父母や関係者のみなさん、お子様方が晴れて本学に入学なさった事に対しまして心からお祝いを申し上げます。
本学は丁度10年前の4月8日に開学いたしました。したがって、今年は開学10周年にあたる年なのであります。2004年の4月8日に、初代学長を務められた故中嶋嶺雄先生の下に148名の第一期生を受け入れ、教員50名、職員37名、また教育施設といえば教室数41という体制で東北のこの秋田の地に開学したのでありました。出発はこのようにささやかなものではありましたが、その志は最初から天を衝くものでありました。すなわち、その建学の理念は「国際教養大学は「国際教養(International Liberal Arts)」という新しい教学理念を掲げ、英語をはじめとする外国語の卓越したコミュニケーション能力と豊かな教養、グローバルな視野に伴った専門知識を身に付けた実践力のある人材を養成し、国際社会と地域社会に貢献することを使命とする」とあります。そしてその理念に共感する次のような学生を求めています。
(1)学習意欲が強く、鋭い問題意識をもつ学生
(2)国際社会を舞台に活躍できるような実践的な外国語運用能力(特に英語)と、幅広い教養の修得を志す学生
(3)世界の多様な文化、言語、歴史、社会、そして経済や環境などの国際関係について、強い関心と探究心をもつ学生
このように、本学は最初からその立ち位置をグローバルな枠組の上に置き、日本のリーダーたろうと公言してはばからなかったのであります。更におどろくことは、その公言をまことに実直に実践、実行してきたことであります。大学の構成員全員がこの理念に表された本学の在り様を共有のものとしたのでありました。
さて皆さん、皆さんが本学を目指した動機や目的は何であったでしょうか。本日、この入学式に列して、心中に去来するものは何でありましょうか。本学の高い評価にあこがれて入学したのでありますか。本学ならば何か良いものを与えてくれるであろうという期待感がありますか。それらのものは、おそらくこれから始まる4年間の厳しい勉学を通して懸命に努力した結果入手できるでありましょう。しかしながら、今から保証されているものではありません。それは全て皆さん次第です。
皆さんは、本学がこれから4年間もしくは大学院生の場合は2年間をかけて研磨し、すばらしい宝石になっていく原石なのです。皆さんを研磨した結果、どのような色合いと輝きを発揮するのか、誰にもわかりません。ただわかっているのは皆さん一人一人が大きな潜在能力を秘めており、それらを磨いた結果は、一人として同じでない色合いと光沢を見事に出すということなのです。大学としてこのような皆さんを受け入れることは、この上もない喜びであり、幸せな事であります。この喜びをもって、本学は皆さんが懸命に努力するに値する十分な環境を提供します。それは諸君を成長へと導く熱心な教授陣、それをサポートする職員達、すべての科目を英語で開講し、すべての学生の1年間の海外留学を義務化するという、他大学に類を見ないカリキュラム、24時間・365日開館の図書館、厳しい対話が繰り返される少人数・対話型の授業、1年生が全員共同生活を過ごす異文化全寮制等であります。皆さんはこれらの訓練や体験を経て、必ず脱皮して行きます。繰り返しになりますが、それも皆さん次第なのです。しかしながら、そう言ったからといって、我々教職員が皆さんの努力や苦闘を手をこまねいて傍観していることは決していたしません。それどころか、我々も共に身を投じて激流を泳ぎ、皆さんの脱皮を手助けします。このことはどうか信頼して下さい。さあ、それでは皆さん、これからの4年間で必ず大きな脱皮をして成長すると我々の前で自らに誓ってください。
それでは今から、その第一歩を歩み出しましょう。
学部新入生代表スピーチ 森 紗恵子
(タイ語)みなさんこんにちは。私の名前は森 紗恵子です。どうぞよろしくお願いいたします。
みなさんこんにちは。このような機会をいただきお話しできることを大変光栄に感じております。さてみなさんは今、私の名前より、はじめに何語を話したのかということに興味があるのではないでしょうか。誰かご存じの方はいらっしゃいますか。今、私が話したのはタイ王国の公用語のタイ語です。それではなぜ、タイ語を話したのでしょうか。その答えは、タイという国が私の人生に大きな影響を及ぼしたことにあります。
私が今まで慣れ親しんだ環境を離れ、タイという異国の地に飛び込んだのは2012年の夏、高校3年生のときでした。言語から生活習慣、食事、国民性まで、何もかもが違っており、毎日が発見にあふれていました。食事があまりにもおいしくて体形維持が大変だったのは言うまでもありません。私は新しいエキゾチックな世界と、そこで築いた現地の人や他の外国人との交流にすっかり魅了され、国際社会で活躍したいと強く感じるようになりました。高校卒業後は国際系の大学で学びたいと調べていくうちに、AIUに興味をもち、この大学でぜひ四年間を過ごしたいなと思い始めました。それと同時に、私はギャップイヤー入試制度について初めて知りました。そのとき、以前アメリカ人の友人にかけられたある言葉が頭をよぎりました。「こんなに一緒に話したり過ごしたりして楽しい日本人に出会ったのは初めてだよ。日本人に対する印象がすっかり変わったね。」この言葉から、私は非常にシンプルで、かつ重要なことに気付かされました。私たちは全員それぞれが日本人、そして日本文化を代表する人材であり、国際社会で活躍していくためには、「日本人」であるというアイデンティティーを確固たるものにしていくことが不可欠だ、ということです。私はすぐさまペンをとり、「ギャップイヤー制度を利用し、日本について学ぼう」と書き留めていました。
今日、私はギャップイヤー活動を通して得たさまざまな知識や経験を身に付けて、ここにいます。しかし、これはスタート地点に過ぎません。まだまだ奥深く美しい日本の文化を、AIUでの学業を通してまた違った視点からもっと学べるのではないかと強く期待しています。私はここで自分自身の英語力を高めるだけでなく、日本人として国際社会で活躍するのにふさわしい人材になれるよう努力していきたいです。これからの四年間を通してどんなことを学び、吸収し、広めていけるか、期待で胸がいっぱいです。そして今日は、ここにいる皆さんがそのスタートを切るのに絶好の日だと強く感じております。私たち学生が、みな将来の夢や目標を追い求め、そしてつかみ取ることを願っています。ご静聴ありがとうございました。
大学院新入生代表スピーチ Alexander Ormond
こんにちは。新学期を迎えるにあたり、皆様の前でこのようなスピーチの機会を与えていただき、ありがとうございます。
私は、2012年の秋学期に交換留学生として国際教養大学で学ぶ機会に恵まれました。留学中、学業に励み、旅をし、新しい友達も作り、時にはボランティア活動にも参加しました。これらの経験を通し、私は日本のみならず自分自身や自分の文化について学ぶことができました。
大学院入学生の代表として、私は、忍耐力、リーダーシップ、誠実さ、そして尊厳を兼ね備えた人材になれるように努力していきたいと考えています。国際教養大学は、私たちに地域やグローバルな世界で活躍するために必要なコミュニケーション技法や全人的な教育を通し、グローバルな市民になるためのユニークな機会を与えてくれるはずです。私は、国際教養大学留学中にボランティア活動を通して自分や他人について多くのことを学びました。また、学生にカリグラフィー、料理、英語を教える経験もしました。一方で、小学生からは日本語や漢字の書き方を教えてもらいました。紙飛行機をつくるのも上手になったと思います。これらの経験を通じ、コミュニティーに貢献することによる充実感を得ることができました。
私たちは各々がグローバルリーダーになることができます。それぞれの夢や目標に向かい努力することを呼びかけたいと思います。居心地の良い空間から一歩外に出て、進んで新しい経験や友達、そして自分自身についてより深く学びましょう。私たちの前には挑戦すべきことがたくさんあり、時には疲れ果て、失望することもあるかもしれませんが、これらは一時的なものであって永遠に留まるものではありません。あまりにも疲れきっていて息苦しさを覚えるような時は、「呼吸する」ことにのみ意識が向くでしょう。そのような時は、テレビで何をやっているか、その日の夜何をするかなどは一切気にならず、ただ新鮮な空気を吸うことだけを求めます。まるで空気を吸うことを求めるように成功したいと望むならば、夢や目標を叶えることができるでしょう。皆さん、そこまで追求して自分の夢や目標を手に入れることに挑戦しようではありませんか。
我々に与えられたこのすばらしい機会を最大限に活かして、それぞれの目標達成を目指し、最高のグローバルリーダーになりましょう。ありがとうございました。
※実際のスピーチは英語で行われておりますが、ここでは日本語訳を掲載しております。
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