2014年8月27日、国際教養大学専門職大学院学位記授与式が挙行されました。19名の修了生が新たな一歩を踏み出しました。
学長式辞 国際教養大学 学長 鈴木 典比古
AIU学長としてAIUコミュニティを代表し、本日卒業式を迎えられたグローバル・コミュニケーション実践研究科の学生諸君に心からお祝いを申し上げます。
このグローバル・コミュニケーション実践研究科は高度な国際コミュニケーションの理論と実践に係る知識と技能を身に付け、グローバル社会において、外国語により業務ができる高度専門職業人を養成するという教育目標を掲げ、2008年に開設されたこの種の大学院としては我が国で初めての専門職大学院であります。人数的に少ないですが、本日ここに、英語教育実践領域で6名、日本語教育実践領域で6名、発信力実践領域で7名の諸君にそれぞれの学位を授けることは本学の誇りであります。英語教育実践領域においては修了生の諸君が本学で学んだ実践的教育方法を用いて、秋田の、そして日本の英語教育の現場に革新をもたらしていただきたい。日本語教育実践領域を修了した諸君は、海外で日本語教員になることを通じて日本と海外諸国の懸け橋となってください。発信力実践領域の諸君においては、国際社会における経済・政治・文化等の分野で活躍する道を歩まれることを期待いたします。
世界は今、グローバル化が加速度的に進んでおります。その行き着く先では、世界の人々のライフスタイルや思考形式の同質化が進んでいるでありましょう。我々は運命共同体としての「宇宙船地球号」に乗船していることを強く意識するようになっています。しかし、同時に、我々は「宇宙船地球号」の上で世界各地の地域的特徴を保ち、各地の生活や文化や歴史の多様性を豊かに維持することも、人類の将来にとって不可欠の課題である事にも気付いています。かくして「宇宙船地球号」の上で、グローバリゼーションによる世界同質化がもたらされ、それは利便性、合理性、経済性を強める一方で、各地域の豊かな多様性、独自性、創造性等のローカリティを十分に確保していかなければなりません。この、グローバリズムとローカリズムの双方からの要請をダイナミックに均衡させながら進んでいくこと、これが「宇宙船地球号」の操舵をする者の責任となります。
今日、諸君がこの学位を手にして本学を巣立って後、数十年の活躍を経て再び本学に舞い戻ってきていただきたい。それは2050年頃のことと想定いたしますが、その頃までには本学も世界に冠たる諸君の母校になっていることでありましょう。しかし、その「世界に冠たる」ためには諸君のこれからの活躍こそが唯一の頼みであり、保証であります。
ではもう一度、修了生諸君、卒業おめでとう。くれぐれも健康に留意して元気に飛び立っていってください。
修了生代表挨拶 日本語教育実践領域 鈴木 里菜
皆様、本日は、お忙しい中、私たちの修了式にご参列いただき、誠にありがとうございます。AIUの教職員の方々、大学院の先生方、そして家族、すべての方々の支えのおかげでこの日を迎えることができました。私はAIUの学部を4期生として卒業しています。本日は、AIUへ今までの感謝の気持ちを伝えたいと思います。
私がAIUと出会ったのは、高校3年生の時です。まだAIUが創立して3年目。今と違って、無名の小さな大学でした。当時卒業生が一人も出ておらず、この先どうなるかわからないという周囲の心配をよそに、小さなキャンパスから広がる無限の可能性にとてもわくわくしたことを今でも覚えています。
先日、実家で高校生の時に使っていたノートを見つけました。そこには、「AIUの大学院に行く」と書いてありました。当時、大学の職員の方から、「将来、大学院を創るつもりだ」という話を聞き、まだAIUへの入学も決まっていないのに、自分の未来を記したことを思い出しました。あれから何年もたった今、自分の意志を貫き、今日こうして卒業を迎えられたこと、誇りに思います。
私たちの大学院は、とてもユニークで、グローバルコミュニケーションを学べる日本で唯一の専門職大学院です。それゆえ、カリキュラムも容易ではありません。
私が所属していた日本語教育実践領域(JLT)では、1年次に日本語教育に必要な理論を習得し、2年次には、海外での教育実習を含め、3期に亘る教育実習があります。
毎日が挑戦の日々でしたが、世界中で日本語を学ぶ学習者と関わり、一人の社会人としての責任感を持つことと、仲間と協働で支えあうことの大切さを体験できる環境で学べたことに感謝しています。
このような、何事にも代えがたい経験と出逢いを得ることができたのは、支えてくださった、家族、教職員の皆様、仲間たち、私の故郷である秋田の方々のおかげではありますが、この場をお借りしてもう一人、御礼を言いたい方がいます。
AIUの初代学長である中嶋嶺雄先生。AIUを、専門職大学院を、そしてAIU での家族を創ってくださり、誠にありがとうございました。
人との縁を大切にすること自分を信じて自らの限界に挑戦することそこから得た経験は、かけがえのない人生のギフト(財産)になる
世界中のどこでもない、中嶋前学長が創ってくださったAIUが教えてくれました。AIUでの経験と出逢いがどれもすべて、私の人生の大切なギフトになりました。
これから、私たちは、この大きなギフトを胸に、それぞれの道を歩いていきます。世界中のどこにいても、AIUの卒業生であることを誇りに思い、新たなステージへと進んでいきたいと思います。そして、また、どこかでみなさんとこうして顔を合わせることができる日を心待ちにしています。
ご清聴ありがとうございました。
※実際のスピーチは英語で行われておりますが、ここでは日本語訳を掲載しております。
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